正当な事由って何さ?
不動産登記法が改正されて、それなりに時間が経過しているわけですが、登記済証(権利証)や登記識別情報が添付できない場合の登記申請手続きはメジャーなものになったのでしょうか?
と、いいますのも、最近、登記済証を無くしたとか、捨てたという依頼者が結構現れるんです。。。
土地=登記済証 くらいのイメージで命の次に大事に神棚に保管している人もいるのに、その度胸に僕は舌を巻いてしまいます。 (;;;´Д`)
火曜サスペンス劇場とか2時間ドラマでよく殺人事件のきっかけになってる、あの高額財産のような紙の威厳はかなり衰えてしまったんでしょうか・・・
それはさておき、登記済証や識別情報が添付できない場合は司法書士等の申請人の本人確認手続きか、事前通知による手続きが必要になってきます。
で、その添付できない場合についてなんてですが、その理由は何でもいいわけじゃありません。
添付できない「正当な事由」が必要になります。
まぁ、特に、この手続きを踏むための権利とまで言えるような事由ではないですが、決められた範囲内のレベルを満たしている必要があります。
たとえば、
1 もともと不発行だった(従前の登記が代位申請でなされたなど)
2 紛失(なくしたのも、仕方ないから正当事由です)
3 滅失(捨ててやった、破ってやった、燃やしてやった ・・・・まぁ、物としての登記済証の存在をどうするかは所有者が自由に処分して構わないのも理論上正しいですが~~)
です。
でも、
4 その他の事由
みたいなのもあるので、このあたりがグレーな感じです。
「その他の事由」としては、共有者がいる場合で登記済証が1枚しか発行されていないので、どうしようもないからという例があります。
これは僕も納得します。
が、
今日、仲間の司法書士と会話をしていて、
「他人に預けてあって、返してもらえないから」
も、正当事由としてOK、本人確認または事前通知でいけるのだと、信頼できる筋から言われたと言うのです。
・・・・う~ん
登記済証を他人に預ける ≒ 担保に差し入れる
または
登記済証を他人に預ける ≧ その不動産を譲った(売った、あげた)
という、社会通念はないでしょうか?
とするならば、その預けた人間がその差し入れた登記済証の存在を消したように、勝手にその不動産登記の権利を処分するのは不当な事由そのものなのにならないでしょうか?
悪いことが安易に思い浮かんで、安易に実行できる運用になってませんか?
条文の意味の拡大解釈は運用上その便宜に資することが必要になることはあるのかもしれませんが、根本的な法意を見失わないよう、細心の注意は払って欲しいものです。