お金はモノの流通に欠かせない役割を果たしています。
そして、もうひとつの役割として、価値を表す「モノサシ」としての意味があります。
お金には換えがたい、プライスレスなモノや出来事、感情というものはありますが、
法律の世界では「損害賠償」というものに置き換えて、その価値をお金で表現してしまうことすらあります。
もちろん、人の生命や人権、愛や人徳や礼・ワビサビがお金で買えるなんて話をするわけではありません。
でも、それくらい、この「モノサシ」の力が世の中に普及しているのは事実かと思います。
で、そのお金の「モノサシ」が不思議なことになっているモノ(権利)があります。
それが土地の価格です。
土地の売買は売主がモノや権利を譲り、買主がその代価のお金を支払いを約束することで成立します。
原則的には、代価となる価格は、売り手と買い手が合意した価格であれば良いわけで、その値段こそが土地の価格になります。
これを取引価格(実勢価格)と言ったりします。
しかし、この価格以外にも土地には値段が4種類の土地価格があります。
これを「一物四価」と言います。
さて、どんな土地の価格が思い当たりますか?
司法書士が一番馴染み深いのが
「固定資産税評価額」でしょう。
登記申請手続きの登録免許税の計算には欠かせない存在です。
次に馴染みがあるのが
「路線価」でしょうか。
相続税や贈与税の計算に必要な価格ですので、分野としては税理士さんが得意ですね。
(ちなみに「名古屋の司法書士 浅井健司の浅学菲才にて」の過去の記事に計算方法等を紹介したことがありましたねぇ(*´∇`*))
そして、司法書士の仕事にはあまり関係がありませんが
「公示価格」
「基準地価格」
と言うものがあります。
毎年3月下旬ことに新聞やニュースで、土地の価格が全国的に下がったとか、都心部では上昇したとか、名古屋ではこの地域が最高値をつけたとか、そんな話題のネタになる価格です。
ちなみに公示価格も基準地価格も指導価格であり、土地収用の価格になるわけで、使われ方は似ています。
もう少しこれらの価格の詳細を加筆すると
「公示価格」は国土交通省が発表している価格で、「基準地価格」は都道府県が公示価格の発表の補完に使っています。そして、実際の売買での取引価格とも差が少ない金額になるようです。
「路線価」は国税庁が発表しており、公示価格や基準地価格に比べると8割くらいの金額になることが多いようです。(これもあくまで目安です)
そして「固定資産税評価額」は市町村が決定していて、やはり公示価格や基準地価格に比べると7割くらいの金額になることが多いようです。(これも本当に目安です、というか、実際業務をやっているとびっくりするくらい低い価格であることも多いです。もちろん逆もありますし、、、)
発表している公的機関の思惑がいろいろ見え隠れする不動産の価値。
お金の「モノサシ」としての能力が、面白さと難しさを持っている、そんな一面を見せてくれる場面かも知れませんね。(⌒-⌒)